『ブラッド・メリディアン』 朝が来るまで終わることの無いダンスを

 

 

この世界のあり方は花が咲いて散って枯れるというものだが人間に関しては衰えというものがなく生命力の発現が最高潮に達する正午が夜の始まりの合図となる。人間の霊はその達成の頂点で燃え尽きる。人間の絶頂(メリディアン)は同時に黄昏でもあるんだ。

 

黄昏。

夕方の薄暗い時。夕暮れ。

盛りを過ぎて終わりに近づこうとするころ。

古くは「誰そ彼」と呼ばれ、人の顔が暗闇に包まれ、判別できなくなる時分のこと。

その語源が指し示すように、黄昏という言葉にはいつも喪失の感覚が付きまとう。

何を失ったのかはわからない。けれど、何か大事なものを置いてきてしまったのではないか……そういう感覚を。

 

『ブラッド・メリディアン』は虐殺に満ちている。

主人公の少年が属するグラントン団は、メキシコの地方州知事に傭兵として雇われる。

殺したインディアンの頭皮に金を払うと言われ、グラントン団はインディアンを虐殺する。

殺した数を水増しするため、メキシコ人も虐殺する。

州の予算がつき金が貰えなくなるが、それでも「一日の真っ赤な終焉と夜の土地と太陽の遠い混沌に夢中になり惚れこんでしまった」彼らは虐殺を続ける。

そして最後には、虐殺し返されて滅びる。二人の男を残して。

西部劇らしいフェアな決闘などここでは描かれない。一方的な殺戮と、一方的な逃走、その結果として生じる死屍累々が描かれる。

そのくせ文体は異常に乾いている。それもそうだ、舞台は砂漠。

大地は無限に血を吸って、死体はまもなくミイラになる。

  

グラントン団の面々は頭のネジがぶっ飛んでいる。

団長グラントンはもとからヤバいやつだった節があるが、それ以外の面々は虐殺の中で徐々に殺戮を楽しむようになっていく。

主人公と序盤から行動を共にするトードヴァイン、一応常識人枠っぽい元司祭トビン。

彼らはある意味平凡な人間であり、そしてそれゆえに喜々として他人を蹴り落としにかかる。

ありていな言い方をすれば、血に酔っていく。

血に酔った彼らは全滅し、「ほんものの」二人だけが最後に残る。

 

よく聴け、君。舞台には一頭の獣だけが踊れる広さしかない。ほかの獣には名前のない永遠の夜が運命づけられている。一頭ずつ獣は脚光の向こうの闇のなかへ降りていく。踊る熊もいれば踊らない熊もいるわけだ。

 

残った二人のうち片方はホールデン判事。全身に毛のないアルビノの巨漢。

地質学はじめ他分野に精通し、血塗られたグラントン団の道筋を理論武装してみせるダンスの達人。

暴虐を以て神に選択を強いる人間を超越した存在。

なんだこいつ『HELLSING』のキャラか?

 

もう一人は主人公である「少年」(The Kid)だ。

グラントン団の虐殺の最中にありながら、唯一殺人を避けようとする男。

必要になれば銃を抜くが、必要にならなければ銃を抜かないある意味「人間らしい」男。

むせかえるような血煙の中でも血に酔わず、無防備の判事を殺さずに見逃した男。

型月の主人公かな?

 

二人とも血に酔わず、ゆえに二人とも生き残り、語り合う。

そして冒頭に掲げた通り「人間の霊はその頂点で燃え尽き」、夜が始まり判事が踊るのだ。

 

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判事の見た目的なイメージ、バイオRE2のタイラントバットマンのジョーカーにも似ているが、まあ誰でも思いつくと思うのであえては書かない。Dr.マンハッタンにも似てない?

 

つまるところ、本作の内容は最終章の判事と少年の議論に収着する。

闘争を儀式あるいは遊戯として執り行い、すべての人間の価値を強引にYES or Noの裁判の場に引きずり込む判事。

「私の知らないうちに存在しているものは私に無断で存在しているということだ」などとうそぶきながら、彼はすべての存在を一つずつ闇のなかへと葬っていく。

論理的に考えれば彼の行為は他人の財産を無断で賭けているのと同じなのだが、そんな理屈は判事にとって何の意味も持たない。

少年も、あるいは少年の持っていた人間の魂も、ついには闇のなかへと葬られる。判事はただ一人で踊る、すべてのものを葬り去ったその後、スポットライトを浴びる一人用の舞台の上で。

 

これぞまさに黄昏。

夕暮れの赤く染まった太陽を背に、判事は踊り、残りのすべては地に倒れる。

そして読者の中に残されるのだ。何か茫洋としたものに対する喪失の感覚と、形容しがたい夜への不安感が……

  

コーマック・マッカーシーが本作を書いたのは1985年である。

1850年の本作の舞台からはもうずいぶん離れてしまった。

もし1850年ごろ、あの少年が死んだ日が人類の絶頂だとするならば、現代は果たして何に当たるのだろう。

果たして太陽はもう一度昇ったのだろうか?

それとも世界はずっと、白亜の巨人が踊る一夜の舞台のままなのだろうか?

 

彼は眠らない。私は絶対に死なないと判事は言う。光のなかで踊り影の中で踊る、彼は大の人気者だ。判事は決して眠らない。彼は踊る、踊る。私は絶対に死なない、と判事は言う。

 

Flip the Next Coin...
 

『白鯨』:大先輩。作者のお気に入り本。

kambako.hatenablog.com

 

HELLSING』:似てる本。ヒラコーにかかると主人公の「少年」がめっちゃエッチに化けそうな気がする……気がしない?

HELLSING(1) (ヤングキングコミックス)

HELLSING(1) (ヤングキングコミックス)

 

 

 

 

 

『スローターハウス5』 悲しみをともに持ち

 

 

感想が書きづらい作品だ。

戦争もSFも日常も、すべてがするりと流れ落ちてしまう。

読み終えたあと私たちの手に残るのは、そこになにかがあったという感覚だけ。

冬の流水に手を濡らしたような、厳しくも爽やかな感覚だけだ。

 

スローターハウス5』の主人公はビリー・ピルグリムだ。

少なくともある側面においてはそうだ。

ある日突然時間から解き放たれたビリーは、自分の一生をランダムな時系列で体験する。

ある時は年老いた大富豪として。

ある時は宇宙人のペットである壮年地球人として。

そしてある時は、ドレスデン爆撃に晒される少年捕虜として。

 

ドレスデン爆撃はこの本によって知られるようになったのだという。

しかしその割に、この本の中での爆撃の描写はサラッとしている。

ドレスデン爆撃だけでなく、上記のSF設定についてもかなり軽い感じで書かれている。この本、大体においてすべてがサラッと流れていくのだ。

なかでも一番軽く流れるのは死についてだろう。この小説は死に溢れている。戦争シーンでもそうでなくても、そこらじゅうで人が死に、そのたびに作者はつぶやく。

「そういうものだ」と。

 

死体坑の数は、時がたつにつれ数百に増えた。はじめは臭いもなく、さながら蝋人形館であった。しかしまもなく死体は腐り、溶けだして、バラと芥子ガスのような臭いがこもった。

そういうものだ。

ビリーのパートナーであるマオリ人は、その臭気のなかで作業を命じられたため、肺気腫になって死んだ。彼は果てしなく嘔吐しながら、胸をかきむしって息絶えた。

そういうものだ。

 

とはいえ、作者が命を軽んじているというわけではないだろう。

むしろ逆のように思える。

冒頭で作者自身が語るように、『大量殺戮を語る理性的な言葉など何ひとつないから』なのだろう。

スローターハウス5』の世界は、あまりに悲しみに満ちている。

どうしようもない悲しみが多すぎて、浸ることさえかなわない。

 

ヒューマニストで有名なカート・ヴォネガット

だが、その彼が見据える世界は生半可な楽観論など許しはしない。

世界は悲劇に満ち、人間はどうすることもできず、流された末に死んでいく。

 

ビリー・ピルグリムが変えることのできないもののなかには、過去と、現在と、そして未来がある。

 

  『スローターハウス5』の世界は絶望に満ちているが、その語り口はやはり軽やかだ。

ドレスデンで起こったことについても、ビリーは『わかっています』とだけ答える。

彼は言う。すでにすべては決まっているのだから、幸せな瞬間に意識を集中させるのだと。

暗闇の人生の中でも、安らかな瞬間を心に抱え続けること。それが重要なのだと。

 

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シグルイ』のラストシーン。作者は「この瞬間があっただけで藤木の人生は幸せだった」とインタビューで述べていたらしい。『スローターハウス5』も似たスタンスだ。

 

悲しみをともに持つ、という言葉を作ったことがある。

友として悲しみに親しみ、供として悲しみと歩いていく。

絶望を生きるとはそういうものだ。 

それでも人は、爽やかな風の中で問いかけるのだろう。

流れていった悲しみの、かすかな感覚とともに。

 

プーティーウィッ?

 

 

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クソったれな人生の中でいい部分を見つめる。

イギリスでは国民的な歌らしい。

『灯台守の話』 遠きにありて思うもの

 

灯台守の話 (白水Uブックス175)

灯台守の話 (白水Uブックス175)

 

 

これはラブストーリーではないけれど、愛は出てくる。というか、愛はこの物語の外側にあって、何とか中に入ろうとしている。

 

「初心者にお勧めできる本ない?」と聞かれることがたまにあるのだけれど、大体返答に困ってばかりだった。

自分が普段読んでいる本は、まあどう見積もっても初心者向けとは言い難い。

マイベスト100の上位は曲者揃い。

例えば去年のベストは『黄泥街』だが、初心者にアレを勧めるのは正気の沙汰ではない。

ライオンが子供を谷底に突き落とすレベルをとうに超えた暴挙である。

そんな中、『灯台守の話』は初心者にもお勧めできる本な気がする。

読み慣れてない人にも本好きにも勧められる、とびきりファンシーな一作だ。

 

灯台守の話』の主人公(?)は2人いる。

一人はシルバー、母を亡くした少女であり、灯台守見習いとして老人ピューに育てられる。『灯台守の話』はシルバーの誕生から旅立ち、帰還までの半生をなぞっている。

作中で語られる灯台守の役割通り、語り部として物語を牽引してくれる役だ。

もう一人はダーク、灯台のある街にかつて住んでいた牧師であり、奇妙な不倫生活を送ることになる男。彼の物語はスティーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』がバックボーンになっており、手に入れられない愛をめぐる二重性の物語だ。

ダークの物語を経由しつつ、シルバーの成長と愛を描くというのが全体構成になっている。

 

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舞台となるケープ・ラス灯台

ボートで乗り付けるにはあまりに峻峭な崖で驚いた。

 

作中で語られるように、シルバーとダークの物語は「愛の出てこない愛の物語」だ。

愛は太陽のように中心に座し、シルバーはその周りを惑星みたいに回っている。

愛に近づくことはできないし、愛を手に入れることもできない。この物語での愛はそもそもそういうものではないのだ。愛を手に入れることは太陽に近づくのと同じくらい身を滅ぼしかねない。

ただ、愛を手に入れることはできなくとも、愛を感じることはできる。

ちょうど我々が日光を感じるように、そういう在り方として。

愛は遠きにありて思うもの、帰るところにあるまじや。

 

太陽としての愛という図式は美しいが、個人的には異論が残る部分もある。

太陽になりうるのは、なにも愛だけに限らないということだ。

 

シルバーにとっての太陽が愛であるように、ミス・ピンチにとっての太陽は「見捨てられた」だった(『重力の虹』erには見覚えのある単語ではないか?)。現実世界でも、例えば憤怒を太陽にしてしまった人はいくらでも見かける。むしろ愛より多いのではないかと思うくらいに。

個人的な好みとしては、もっと重層的な物語の方が良かったと思う。愛だけではない色々な太陽を描いてもらえれば、もっと味わい深い話になったような気がしてならない。

 

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コペルニクスの地動説。中心にあるがたどり着けない、という点ではカフカの『城』も思い出す。テイストは真逆だが……

 

とはいえ、初心者にもお勧めしやすいという点はかなり高評価。

本作の文体はかなり読みやすく、ハリーポッター式のフォントいじりも結構ある。

重層的にすればするほど初心者向けではなくなるし、作者特有のキュートさも失われかねないため、これはこれでありかもしれない。

 

 

 

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ジキル博士とハイド氏』:作中で紹介。

ジーキル博士とハイド氏 (新潮文庫)

ジーキル博士とハイド氏 (新潮文庫)

 

 

『城』:たどり着けない中心。

城 (新潮文庫)

城 (新潮文庫)

 

 

ハリー・ポッターと賢者の石』:書体が同じ。一部の文字がボールドになったり大サイズになったりする。

 



 

 

『夜のみだらな鳥』 崩れゆく伽藍、絶え間なき暗渠

 

夜のみだらな鳥 (フィクションのエル・ドラード)

夜のみだらな鳥 (フィクションのエル・ドラード)

 

  

人生は道化芝居ではないし、お上品な喜劇でもない。

……すべての人間が生まれながらに受け継いでいるのは、狼が吠え、夜のみだらな鳥が啼く、騒然たる森なのだ。

 

大学の近くに家系ラーメンができた時、友達と一緒に行列に並んだことを思い出す。

ラーメンは味噌派の私に対して、その友達はこう言った。

「家系ラーメンは食後の水を味わうためのもの」。

食べた後の水のうまさを味わうためにラーメンがあるのだと。

なぜそんなことを思い出したかというと、目の前の小説のハイカロリーさと家系ラーメンが一瞬重なったからだ。

もっとも、『夜のみだらな鳥』はラーメンというより闇鍋だと思うが。

 

『夜のみだらな鳥』はチリの作家、ホセ・ドノソの小説だ。

ここではいろんなことが起こるが、大まかには3つの時代に分けることができる。

 

1つ目、青年作家ウンベルト・ペニャローサが大貴族ドン・ヘロニモに仕えていた日々。

影と光、召使と主人が入れ替わる、不能を巡る呪術譚。

 

2つ目、ウンベルトが畸形の楽園リンコナーダの管理者として送った日々。

「畸形」が「正常」、「正常」が「畸形」となる人工の世界。

 

3つ目、ウンベルトが変じた存在『ムディート』が、見捨てられた修道院で送る陰謀と混沌の日々。

頭の弱い娘を囲んで老婆の群れが処女懐胎ごっこ

 

物語はこの3つを行ったり来たりし、それに合わせてウンベルトも世界も姿を変じていく。

 

 

変身。そう、この本は変身に満ちている。

『夜のみだらな鳥』の世界において、人間は容易に姿を変える。

形を定めるのは名前、そして仮面。

ウンベルトが名前を失うとムディートに変じ、ムディートが仮面を被るとヒガンテに変身する。

 

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ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』より。『ムジュラ』同様、『夜のみだらな鳥』の主人公は仮面(またはそれに紐づいている名前)に応じて姿を変える。

 

ストーリーが時空と姿を絶えず行き来する一方で、そのラインが描き出す構造は常にシンプルだ。

『夜のみだらな鳥』は常に裏と表、2つの存在の対局構造の中に存在している。

きらびやかな表面の影に存在する、無秩序な暗渠の濁流。

例えば、主人と召使。

令嬢と老婆。

畸形とそうでないもの。

それらは時に入れ替わり、交差し、重なり合う。

世界で最も有名な魔女、マクベスの老婆たちが語ったように、『きれいは汚い、汚いはきれい』なのだ。

 

闇のなかの彼女たちはそうした不潔な汚れもので、それらを奪い取った主人たちだけではなく世間全体の、いわばネガを再現して楽しんでいるのだと。

この廊下や空部屋に大勢集まっている老婆たちの弱々しさ、貧しさ、寄る辺なさは、おれにもよく分かる。

そしてここは、この修道院は、彼女たちがその護符を隠しておくために、またその弱さを結集して裏返しの力と言うべきものを作り上げるために、やって来た場所なのだ。

 

『夜のみだらな鳥』の世界は極めて理性的だ。

取っている行動がいかに狂気的でも、いやだからこそその全体構造はリジッドな寓話に満ちている。

しかしいかに寓話性に満ちていても、本作の価値をその二極構造に見出そうとするのは間違いだろう。

理性的な暗喩構造は、あくまでも崩れ行く人工の世界に他ならない。

構造面が論理的であればあるほど、むしろその対極にあるものが暗く輝くのだ。

あの暗く朽ち果てた無秩序な迷宮の、どうしようもないほど強大な力が……たとえようもないほど歪んだ、あの美しさが。

 

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終盤の修道院崩壊は『ノスタルジア』のこの光景を思い出した。作品としては対極的だが、美しい虚しさがそこにある。

 

 

「ラーメンは食後の水を味わうためのもの」。

『夜のみだらな鳥』も、そうやって味わうためのものに思える。

本を閉じ、せわしない日常の中で時たま生じる空白の時間に、吹き抜ける風と共に思い出すのだ。

混沌の濁流に呑み込まれていったあの伽藍を……夜のみだらな鳥が啼く、騒然たるあの森を。

 

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ベックリン『月光の風景』

 

 

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ドグラ・マグラ』:日本から来た親戚。ババァ&畸形小説からキ〇ガイ小説へ。

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)

  • 作者:夢野 久作
  • 発売日: 1976/10/13
  • メディア: 文庫
 

 『黄泥街』:中国から来た親戚。ババァ&畸形小説から虫&糞小説へ。

kambako.hatenablog.com

 

 

 

 

 

Last evil カード&装備品評価

 Steamのデッキビルディングゲーム。

がっつりエロ要素してるけどやってみると全くエロくない。

むしろゲーム要素が面白いゲーム。

なのでカード評価とかしてみた。

 

 

 

10点

マナストリーム

完全ノーコストカード。

アクション数(マナ)を増やす方法が少ないゲームなので効果も強い。

弱いわけない。

 

クイックショット

完全ノーコストカードその2。

効果は控えめだが完全ノーコストなのでコスパは無限大。

 

壊血病

コストありで唯一の10点評価。毎ターン出血付与。

これ貼って守ってるだけで勝てる。

 

9点

アンプリファイ

攻撃力3上昇。火力源。

これ単品では仕事しないが、廃棄カードなのでデッキも圧迫しない。

アップグレードすると驚異の0マナになる。

 

劣化

攻撃するたび出血付与。

こちらもアップグレードすると0マナ。

上述の壊血病・アンプリファイと相性が良い。

 

マジックアロー

1マナ3x3ダメージ。

1マナ9点でも強いが、先述のアンプリファイ・劣化との相乗効果が大きい。

育てば1マナ27ダメージも簡単に出せる。

 

チル

0コストダメージカード。

攻撃面でも弱体化面でも貴重なカード。

初期カードだが追加で取っても強い。

 

ダブルペネトレーション

コピーカード

強いけどめったに手に入らない。

 

8点

エリシブパワー

初期攻撃と初期防御を1枚にしたようなカード。

攻防一体で使い勝手が良い。

 

防御姿勢

アンプリファイの防御版。

効果は強いが、アップグレードしてもコストが下がらない分点数が劣る。

 

フィンガープレイ

シールド&ドロー。

コストは高めだが効果も大きい。

マナコストメインのデッキに1-2枚刺すと効果的。

 

ヘイスト/サディズム

手札の減らない攻撃/防御。デッキの潤滑剤。

どちらを取るかは好みだが、個人的にはヘイスト優先。

 

カース/インジャリー

出血付与カード。

弱体化のカースかダメージのインジャリーかどちらを選択するかは状況次第。

カースの方がレア度が高いので注意。

 

マナレザドゥー

0マナ多段攻撃。

0マナで3-5点ダメージが出せるだけでもおいしいが前述の劣化と好相性。

 

ザ・ミストレス

手札にキープして置ける無敵カード。

強力カードには違いないが、他の強いカードと一緒に出ることが多く選択率は高くない。

 

7点

ヘイトレッド

1ターン限定火力増加。

原則アンプリファイの方が強いが、あちらが出ない場合はこっちを取るしかない。

単体では仕事をしないのでデッキに1-2枚にとどめておくように。

 

やまびこ

毎ターンシールド付与。

なんだかんだ有能だが1コストが重いときもしばしば。

アップグレードしてもコストは下がらない。

 

スティグマ

攻防一体デバフ。

多段攻撃との相性がよいがこれ単品では仕事をしない。

クリピアシングを持っていると実質ほぼノーコストになり、優先度上昇。

 

ドレインライフ

ネクロマンシーの杖で得られる特殊カード。

回復しまくれるため完全に別ゲーになる。

相手にダメージを与えないと回復は発生しないので注意。

 

インフュージョン

1マナ3ドロー。

アクション数が限られているため他のデッキビルディングゲームよりは強くない。

保険の意味合いでデッキに1枚入れておくと有効。

 

 

6点

痛ましい記憶/あふれ出るマナ

デッキの枚数だけダメージ/シールド。

安定しないが1マナ20点も夢じゃないロマン枠。

採用するならデッキの回転率には気を付けること。

 

アイスストーム

ランダムじゃなかったら強かった。

タイマン戦ならマジックアロー並みのダメージソースになってくれる。

 

アーニング

0マナで性欲が手に入る。

赤コストベースのデッキなら有能。

それ以外では効果が薄い。

 

ハートアタック

1性欲8点火力。

コストが軽いためマナカード中心のデッキでも採用しやすい。

ただのダメージスキルなので他のカードでも代替可能。

 

オーガズム

火力が徐々に上がるようになったハートアタック。

評価としては大きく変わらないのでお好みで。

 

ラピッドミサイル

3マナ5段攻撃。

アンプリファイなどと組み合わせることで一撃必殺火力になる。

コストが重すぎてトドメ専門カードになってしまっているが、手札に残ってくれるのでデッキを圧迫しない。

 

インポテンス

相手の攻撃力が雑に下がる。

それ以上でも以下でもない。

自己バフ持ちの敵が多いため、時間稼ぎ程度に扱うべき。

 

簡易シェル

0マナシールド。

コスト相応の性能。

0マナでもカード1枚割くことになるため全体的にはトントン。 

 

5点

テンプテーション

初期カード。このゲームのこのゲームたる所以。

カード1枚で2ターン拘束できる強力効果。

ボス攻略でも金稼ぎでも重要。

弱点はあまりにも高コストなこと。

使うタイミングは適切に選ぼう。

 

ワールオブアイス

1マナ大量シールドだが、代わりに攻撃力が下がる。

連打してしまうと長期間攻撃力が下がってしまうため、あまり枚数を増やしたくはない。

初期カードとして入っているためこれに救われることも多いのでは?

 

セックス

全体弱体化。

効果はショボいがノーコスト。

強くも弱くもない微妙枠。

 

ノヴァ

体力消費して全体大ダメージ。

弱くはないが多段攻撃系の方がダメージ出せてしまうのがなんとも……

 

トランキュリティ

4性欲2マナ。

貴重なマナ回復カードだがいくら何でも高コスト。

安定して回せるなら強い。

 

グレートウォール

初期シールドの高コスト版。

それ以上でもそれ以下でもない。

ヘイストが優秀過ぎるのが難点。

 

ショックウェーブ

1マナ全体攻撃。

初期ダメージカードより強いが、それだけ。

採用してプラスも小さいがマイナスも小さいカード。

 

アトラクション

アーニングの下位互換。以上。

 

タイムディレーション

インポテンスと似たようなもん。

 

パウンス

シールドと同数値ダメージ。

こいつを有効活用するためにはまず防御をしっかりすることが大前提。

ただそうするためにはこのカード自体のコストが重すぎるため

 

ディメンションディバイド

 

 

4点

コンセントレイション

多段攻撃系のカードでいい。

 

ウィクネス

いろいろ付いてくるけどいろいろ効果が小さい。

0コストならまだしも……

 

バイティングウィンドウ

2コスト全体出血。

出血はそもそも重ねてなんぼのカードなので、重たい全体出血より軽い単体出血を連打した方が強い。

 

歪んだ恋

効果は強いが3コストは重過ぎる。

 

ライトニングストライク

ショックウェーブの2マナ版。

さらに使いどころが減ってる。 

 

3点

スパーク

エクセシブブリーディング

デザイア

初期攻撃・初期シールド 

クライマックス

パサネイトヒット

オポチュニティー

ディップキス

 

2点

マゾヒスト

ライジングフロンアシュ

ブラックホール

ソールドレイン

剥ぎ取り

穢れた血

 

1点

カオスシード

ダストオブラスト

 

 

装備品評価

 

力があふれる杖10点

カードを増やさないとアップグレード。

これがあるかないかでアップグレード回数が全然変わる。

終盤になればなるほどカードを増やすのがデメリットになるのでほぼ必須。

 

クリピアシング 9点

性欲カードがキャントリップになるカード。

性欲カードに強力カードが多いためデッキの回転率が大幅向上する。

 
儀式用の頭蓋骨 9点

戦闘終了後回復。

そりゃ強いわ。

 

純粋な水 9点
スペルブック 9点

最初だけ+1マナ&最初だけ2ドロー。

最初のターンは排除カードを使うためマナが欲しい。需要とマッチしているカード。

 

防御の指輪9点

自動シールド供給。

やまびこ1枚分がノーコスト自動発動と考えるとわりとおいしい。

 

英雄のクロック 9点

最初に使った廃棄カードを2回使えるようになる。

アンプリファイ2回でも壊血病2回でも強い。

 

あとはてきとー。

 

懐中時計 8点

欲望の象徴 8点

加速者 8点

魅力の耳飾り 8点

口づけの残香 8点

復讐者のプライド 7点

ラッキーダイス 7点

苦痛の心臓7点

犠牲者の涙7点

上昇の杖7点

魔法の布 7点

枯れたバラ6点

恐怖の象 6点

デモンスレイヤー 6点

盾 6点

エッセンスコックテール 5点

誕生調律ポーション 5点

 

セクスカリバー 5点

犬の首輪5点

バナナ5点

チェリーケーキ5点

ラッキーダイス5点

赤ワイン 4点

チーズ4点

肉の塊 4点

拘束用のロープ 3点

振動する機械 3点

望遠鏡 3点

労働者の手袋 3点

レモン 3点

鍵 2点

香水 2点

古いエロ本1点 ただのお金。

ろうそく 1点

 

 

 

『夜歩く』 赤と黒の一幕

 

夜歩く【新訳版】 (創元推理文庫)
 

 

ディクスン・カーのシリーズ物、バンコラン判事の一編。

その中でもバンコランのデビュー作になったのが本作である。

発表は1930年。およそ100年前の作品ということもあり、ミステリとしては正直イマイチ。

ただ、個人的にはこの作品、あまり嫌いになれない部分がある。

20世期前半のパリ、あの時代が産んだ魔窟の空気が漂っているような気がするからである。

 

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旧版の表紙。あとで「グランギニョールっぽい」と書いたが、日本で刊行された短編集のタイトルもグランギニョールである。

とある公爵の結婚式が開かれた。

結婚式のあと夜のバーに繰り出した面々の中に、悪魔じみた伊達男が一人。

彼の名はアンリ・バンコラン。

本来は予審判事の彼だが、今は公爵の友人としてボディーガードを頼まれている。

理由は一つ。新婦の元夫である凶悪な殺人犯が公爵を狙っているからだ。

しかもその男、整形して今の顔がわからないと来ている。

会場にくまなく気を配るバンコランだが、やがて監視された室内から公爵の首切り死体が見つかる。

犯人はいったいどこへ消えたのか?

 

トリックとしては密室トリック+入れ替わりもの。正直ここは「整形した殺人鬼」が出てきた時点でだいたい予想がつくだろう。

現代の読者なら、新婦が怪力持ちのリアル吉田沙保里(失礼)みたいな人であることを考えれば、容易に真相に辿り着けるだろう。

なので正直、本作品をミステリとして見ると正直イマイチである。

ただ、本作をキャラクター小説として見ると、これがなかなか面白い。

ケレン味の効いた登場人物が目白押しである。

 

まずは何と言っても主人公、バンコランだろう。

悪魔みたいな山羊髭の胡散臭い伊達男。

夜のパリの闇がなにより似合う紳士。

創元推理文庫の表紙イラストは非常によくできている。

いかにもグラン・ギニョールというキャラクター性にグッとくる。

 

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創元推理文庫版の表紙。いやぁこの表紙、とてもよくできている。

 

それに新婦ルイーズ。彼女こそまさに本作の主人公と言えるだろう。

凛とした孤高の存在のような姿を見せながら、それでいえ誰よりも乙女として生きる人間。

この点でも表紙イラストのイメージがピッタリ。

ムーラン・ルージュっぽい外見が「夜のパリの女王」感、そしてその奥に潜むはかなさをキッチリ醸し出してくれている。

 

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マン・レイ「モンパルナスのキキ」。ルイーズのイメージは完全に彼女である。

 

このほかにも胡散臭さ満点のキャラクターがバンバン登場する(そしてバンバン死んでいく)。

でも中心はこの2人。この2人に乗り切れるかどうかが本作の鍵だ。

 

殺人鬼の潜む夜のパリ、その湿った空気の中に首切り死体と血の池地獄

追うは悪魔紳士バンコラン、その中にたゆたう美女ルイーズ。

このケレン味に酔いしれるのが本作を楽しむ秘訣。

さあ、パリの夜へ漕ぎ出そう。

 

 

Flip the Next Coin...

『皇帝のかぎ煙草入れ』:同作者。こちらは現代でも通じるレベルのミステリ。

 

『ナジャ』:1920年代パリのヤバさがわかる一冊。大物勢揃い。

ナジャ (岩波文庫)

ナジャ (岩波文庫)

 

 

『コーヒー&シガレッツ』:1920年代のパリ、そして1970年代後半のニューヨークに乾杯。

コーヒー&シガレッツ [DVD]

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  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: DVD
 

 

 

 

 

 

 

『氷』 絶望の結晶がひとかけら

 

氷 (ちくま文庫)

氷 (ちくま文庫)

 

 

虹色の氷の壁が海中からそそり立ち、海を真一文字に切り裂いて、前方に水の尾根を押しやりながら、ゆるやかに前進していた。青白い平らな海面が、氷の進行とともに、まるで絨毯のように巻き上げられていく。それは恐ろしくも魅惑的な光景で、人間の眼に見せるべく意図されたものとは思えなかった。その光景を見下ろしながら、私は同時に様々なものを見ていた。私たちの世界の隅々までを覆いつくす氷の世界。少女を取り囲む山のような氷の壁。月の銀白色に染まった少女の肌。月光の元、ダイヤモンドのプリズムにきらめく少女の髪。私たちの世界の死を見つめている死んだ月の眼。

ちくま文庫で再販されるまで希少本として有名だった一冊。

作者はアンナ・カヴァン

SF界の大御所に絶賛された本作は、しかしあらすじとしてはかなり素直。典型的なロードムービーの様相だ。

 

男が少女を追っている。

氷河期が徐々に近づき、崩壊していく世界の中で、少女はとある国へと逃げていったのだ。

少女を追ってたどり着いた国では、長官と呼ばれる男による独裁政治が敷かれていた。

男と少女、そして長官による三角関係。

迫りくる氷河から逃げながら、男は少女を捕まえ、また手放しながら旅をする。

 

都合上「氷河」と書いてしまったが、実際のところ「河」というのは語弊がある。

作中の氷河は水の川のような、足元から流れてくる流れではない。

それは壁だ。

人間のサイズをゆうに超えた巨大な壁が、人を、家を、生活を押しつぶしていく。

 

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温度も音も感じない氷の壁は、バトルロワイヤルゲームのエリア縮小のイメージに近い。もっとも、壁自体が非常に美しいのだが……画像はhttps://gameisbest.jp/archives/30755 より。

 

世界が狭まる。

滅びは避けられない。

気候はどんどん寒くなり、氷に覆われた地域はもはや立ち入ることも許されない。

地球をカバーしようとする氷からは、しかし冷たさを感じない。水晶のような氷だ。

この作品に登場する氷河は、観念上の氷と言ってもいい。

まさにビジョン。

氷のビジョンに囲まれて、形而上の少女が駆け回る。

 

氷の結晶の強烈な輝きに視力を奪われて、少女は自身もまたこの極地のヴィジョンの一部になったように感じる。自分という呼応増が氷と雪の構造と一体化したように感じる。みずからの運命として、少女はこの輝き揺らめく死の氷の世界を受け入れ、氷河の勝利と世界の死に自信を委ねる。

 

氷のビジョンはどこまでも鮮烈だが、人間たちの姿はひどくおぼろげだ。

語り部以外の心理描写はほぼ出てこないし、アクションシーンなんか「投げ飛ばした」の一言で終わってしまう。

有り体に言ってしまえば、おざなりな表現と言ってもいい。

本作に登場する人物は、氷と同じくらい概念上の存在だ。

長官と語り部は同一人物のように捉えられ、夢の中で少女の姿は明滅する。

氷のレンズを挟んだ向こう側で3つの影がぼやけて重なり、また離れていく。

  

『氷』の真髄はそのビジョンにある。

ほのかに輝く氷の壁。世界の終末。

閉ざされてていく円の中で、3つの影が踊っている。

個人的にはノリきれなかったが、このビジョンが稀有なことはよくわかる。

水晶の中に閉じ込められた2人の男と、1人の女。

光に透かして眺めたい、絶望の結晶。

 

周囲にめぐらされた壁の群れに、私たちは捕らえられていた。亡霊のような死刑執行人たちの輪がゆっくりと無慈悲に迫ってくる。私たちに死をもたらすために。私は動くことも考えることもできない。執行人の息が体と脳を麻痺させている。私は氷の死の冷気が触れるのを感じ、轟きを聞き、まばゆいエメラルドの亀裂を走らせて氷が割れるのを見る。 頭上はるかな高みで、ギラギラと輝く氷山の頂が、重いうなりを上げて震え、今にも崩れ落ちてこようとしている。少女の方にきらめく下、氷の白さに染まった顔、頬をかすめるほどに長いまつげ。私は少女を胸元に引き寄せ、固く抱きしめる。落下してくる山のような氷の巨塊を少女が見なくてすむように。

 

 

Flip the Next Coin...

『ロリータ』:男と少女のロードムービーだが、ある意味真逆に位置する作品。

ロリータ (新潮文庫)

ロリータ (新潮文庫)

 

 

『別荘』:完全包囲つながり。こちらは氷ではなく綿毛。

別荘 (ロス・クラシコス)

別荘 (ロス・クラシコス)

 

 

『青い脂』:長官の脳内イメージがスターリンなのは多分こいつのせい。

青い脂 (河出文庫)

青い脂 (河出文庫)