(途中から本作を含め複数のミステリのネタバレがあります)
僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)
- 作者: S・S・ヴァン・ダイン,日暮雅通
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/04/05
- メディア: 文庫
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古典ミステリの大御所ヴァン・ダインの代表作。
歌や俳句などになぞらえて殺人事件が起こる「見立て殺人」の代名詞でもある。
今回見立てられたのはマザー・グース。
マザー・グースの見立て殺人としては『そして誰もいなくなった』が有名だが、年代的には当然こちらの方が10年古い。
作品のカラーとしては『そして~』がホラーであるのに対しこちらはサスペンス。
犯人を追い詰めるシークエンスについては手に汗握るものがある。
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/10/01
- メディア: 文庫
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登場人物も『グリーン家殺人事件』よりキャラが立っている。
ドラッカー親子はギャグマンガに出てきてもおかしくないような目立ちっぷりだし、パーディーの哀れさには目を引くものがある。
ファイロ・ヴァンスは好みの分かれる名探偵だが、個人的に嫌いではない。
全国n人のヒース部長ファンにはニヤニヤが止まらないシーンもあり、現代から見た評価ポイントはこのあたりのデフォルメの効いたサスペンスパートに集約されそうだ。
ただし、それ以外の部分についてはミステリ面でもストーリーテリング面でも高評価は難しい。
それは、本作が偉大な2作の後輩を生み出してしまったからだと思う。
ミステリ面では『ABC殺人事件』。
ストーリーテリング面では『Yの悲劇』である。
(この先ネタバレ)
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