『夜歩く』 赤と黒の一幕

夜歩く【新訳版】 (創元推理文庫) 作者:ジョン・ディクスン・カー 発売日: 2013/11/29 メディア: 文庫 ディクスン・カーのシリーズ物、バンコラン判事の一編。 その中でもバンコランのデビュー作になったのが本作である。 発表は1930年。およそ100年前の作品…

『氷』 絶望の結晶がひとかけら

氷 (ちくま文庫) 作者:アンナ カヴァン 発売日: 2015/03/10 メディア: 文庫 虹色の氷の壁が海中からそそり立ち、海を真一文字に切り裂いて、前方に水の尾根を押しやりながら、ゆるやかに前進していた。青白い平らな海面が、氷の進行とともに、まるで絨毯のよ…

『白鯨』 泳げ悪の真珠

白鯨 (上) (角川文庫) 作者:メルヴィル,富田 彬 発売日: 2015/06/20 メディア: Kindle版 白鯨 (下) (角川文庫) 作者:メルヴィル 発売日: 2015/06/20 メディア: 文庫 『重力の虹』に続いてパラノイア文学のご紹介。 みんな知ってるけど読んだことはないメル…

『バートルビー』 人間バートルビー

書記バートルビー/漂流船 (古典新訳文庫) 作者:メルヴィル 発売日: 2015/09/09 メディア: 文庫 「人間は考える葦である」と言ったのはパスカルである。 「人間は心を持った機械である」と言ったのはデカルトである。 人間の定義は様々だ。他にも「遊ぶ人」(…

やりたいことが見つからない人は定義を間違ってるんじゃないの的な話

知り合いが悩んでたので。 なぜやりたいことを見つけるのか? 「やりたいことが見つからない!」いう人は多い。 でもやりたいことを見つけようとする目的っていったいなんだろう? 進路を決めるため? 人生に張り合いを持たせるため? 多分そのどれもが正解…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』最初期のレビューを翻訳してみる ⑤

④↓ kambako.hatenablog.com この本に焦ってしまう読者は、ほとんどの場合、文学的な素養が足りないというよりも、むしろあまりにも文学的過ぎて排他的になっているのだろう。そういう人物は、声を聞かずにデザインを凝視したり、グロテスクを笑うべき時に登…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』最初期のレビューを翻訳してみる ④

③↓ kambako.hatenablog.com 30年ほど前から流行している文学の分析的な研究によって事前に研究されることなくして、今現在このような本を楽しめる読者はいないだろうし、また今後も難しいだろう。『V.』や関連する現代小説家の作品(ウィリアム・バロウズと…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』最初期のレビューを翻訳してみる ③

②↓ kambako.hatenablog.com ロケット00000号の複製を誰が最初に作れるかを競うメインプロットの他に、少なくとも4つの主要なプロットがあり、それぞれ一つずつでも現代のすべての小説家全体の価値が引き上げられるほどの名作である。 一つは、前述のSSコード…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』最初期のレビューを翻訳してみる ②

原文:https://gravitys-rainbow.pynchonwiki.com/wiki/index.php?title=Rocket_Power 筆者は別に英語得意じゃないので間違いとかは指摘してください。 ①↓ kambako.hatenablog.com すべての単語がすべての単語とつながりあい、メインキャラクターがみんなパ…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』の最初期のレビューを翻訳してみる ①

原文:https://gravitys-rainbow.pynchonwiki.com/wiki/index.php?title=Rocket_Power 筆者は別に英語得意じゃないので間違いとかは指摘してください。 ロケット・パワー 1973/5/3、The Saturday Review、リチャード・ポワイエ 1963年にトマス・ピンチョンが…

"Return of the Obra Dinn" 海に浮かぶ棺

*ネタバレありますがクリアにつながるヒントはほとんど記載していません。 Return of the Obra Dinn - Available Now 見渡す限りの黒い海。 やがて訪れる嵐の気配。 5年の時を超えて、乗組員の亡骸を載せて帰還した幽霊船。 白黒の点描で描かれたオブラ・デ…

意識高い系に抜けてるのってここじゃないの的な話-上限突破&下限確保-

「意識高い系だよねー」って時々言われる。 個人的にはむしろ意識低い系のつもりだし、反論することはできるんだけど、だいたい親しくない人に言われるのでいつも適当に流している。 実際みんなが言わんとしているところはわからんでもなくて、自分の能力な…

わからなかった人のための『重力の虹』解説2 あの人は今!

トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2014/09/30 メディア: 単行本 トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[下] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日…

『闘争領域の拡大』 それでも踏破しなくてはならないお前たちに捧ぐ

闘争領域の拡大 (河出文庫) 作者:ウエルベック,ミシェル 発売日: 2018/02/03 メディア: 文庫 ウェルベックは村上春樹に似ているとよく言われるが、個人的には太宰治に似ていると思う。 ウェルベックも太宰も、ともにキャッチ―なフレーズを作るのが非常にうま…

『Ergo Proxy』 加えよ混ぜよ掘れよ

Ergo Proxy Blu-ray BOX (スペシャルプライス版) 発売日: 2018/08/29 メディア: Blu-ray 『Ergo Proxy』を見た。個人的には中の下くらいの印象。 「外国人に人気のアニメ」とか「大人のアニメ」とかで名前が挙がっていたのを覚えている。 哲学的な、とか独創…

わからなかった人のための『重力の虹』解説

※筆者はピンチョンの専門家ではありません ※筆者は佐藤訳の日本語版しか読んでいません ※筆者はまだ1回しか読んでないので所々うろ覚えです ※完全に持論です ※100%ネタバレです トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection…

『重力の虹』 ナウ、エヴリバディ――

だがふたりが感じるのは曲線だ、間違いなく。それは放物弧。きっと一度か二度、そのことに気づいたのではなかったか(気づきながらも信じるのは拒絶した)――すべては、つねに、全体として、空に潜む純粋化された形へと収斂していたということを。何の偶発性…

『黄泥街』 心にこびりつくあの場所

黄泥街 (白水Uブックス) 作者:残雪 発売日: 2018/10/12 メディア: 新書 あの町のはずれには黄泥街という通りがあった。まざまざと覚えている。 忘れられない場所がある。 ふとした時に思い出す場所、瞼を閉じればその場所の情景・風土・匂いがよみがえる、そ…

『V.』 宙天に浮かぶ多孔質の数珠

V.〈上〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2011/03/01 メディア: 単行本 V.〈下〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2011/03/01 メディア: 単行本 『V.』のことを考えるとき、一…

グランドマスター

グランド・マスター(字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 割と前から気になってたのをPrimeで見た。 戦闘シーンだけ前から知ってたんだよね。 すげえかっけえ。 八卦掌のカンフー結構珍しいし(偏見)。 全体としては、「加点ポイントも多いけ…

Realm war 初心者おすすめキャラ

僕も初心者だけど許して。 やってたら割とポンポン勝てたので書いてみる。 初心者向けなのでティア3の一部くらいまでの中から選んでます。 ピックホラー ウィアードノブ・シャーマン アンデッド・アーミー GORE-GRUNTAS ネクロマンサー モルガスト・ハービン…

オークスマストダイ! 2 おすすめトラップ強化優先度

-ウォーメイジ ・Sランク(どんなステージでも持っていくもの) ・Aランク(とびぬけて強力なもの) ・Bランク(光るステージでは光るもの) ・Cランク(強化は後回しでいいもの) -ソーサレス ・Sランク(どんなステージでも持っていくもの) ・Aランク(と…

カプセルさーばんと 全キャラ一言解説

-近距離型 アヴェンジャー(40) セイバーライオン(60) 青セイバー(100) プロトセイバー(120) ランサー(120) ジャック(120) ジークフリート(150) ライダー(150) セイバーオルタ(200) プロトライダー(200) モードレッド(300) フラン(400) 呂布奉先(500) メルト…

マイベスト2019 小説編

大晦日恒例マイベスト100。 今まで読んだ本の中でベスト100をリストアップします。 上位と新規組は一言紹介ツイートも掲載します。 今年ランクインした本 -15 黄泥街 -17 土星の環 -27 中二階 -31 アウステルリッツ -36 完全な真空 -51 闘争領域の拡大 -60 …

マイベスト2019 映像編

毎年恒例マイベスト100、映像編。 今まで見た映画の中でベスト100をピックアップ。 今年は上位と新規組の一言紹介ツイートも掲載。 今年ランクインしたもの -52.フリクリ -70.倫敦から来た男 -91.ジョーカー -93.アリス -97.グランドマスター 1.パーマネント…

買ってよかったもの/導入してよかったもの 2019

今後も恒例にしたい、今年買ってよかったもの/導入してよかったもの。 1.天引き貯金 2.図書館 3.格安スマホ 4.やってみたいこと書き出し 5.休息用カプセルホテル 6.配当金・株主優待 7.youtube premium(バックグラウンド再生) 8.prime reading 9.リュックサ…

『不連続殺人事件』 ロマンスの死神様今日もありがとう

グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3) 作者: ヴァン・ダイン,井上勇 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1959/06/08 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (38件) を見る 不連続殺人事件 (新潮文庫) 作者: 坂口安吾 出版社/メ…

『僧正殺人事件』 偉大なる後進

(途中から本作を含め複数のミステリのネタバレがあります) 僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫) 作者: S・S・ヴァン・ダイン,日暮雅通 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2010/04/05 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 17回 この…

『NO MORE HEROES』 乾いたリヤルに血がぬめり

人生の数、というものについて考えたことがある。 道行く人々それぞれに人生があり、事情がある。 電車で隣に座った青年はこれから人生を決める選択をするのかもしれない。 喫茶店で話し合う二人は今まさに逃避行のさなかかもしれない。 目まぐるしいそれぞ…

習慣紹介 週末プロジェクトノート

「習慣は第二の天性である」という言葉がある。 正直今時習慣の重要性なんて耳タコなのだが、まあ事実だとは思う。 習慣は複利で効く、の方が実態に即している気もするが。 というわけで導入しているいい習慣を紹介しようと思うのです。 第一弾は週末プロジ…