☆☆☆☆☆ マイベスト上位陣

『夜のみだらな鳥』 崩れゆく伽藍、絶え間なき暗渠

夜のみだらな鳥 (フィクションのエル・ドラード) 作者:ドノソ,ホセ 発売日: 2018/02/01 メディア: 単行本 人生は道化芝居ではないし、お上品な喜劇でもない。 ……すべての人間が生まれながらに受け継いでいるのは、狼が吠え、夜のみだらな鳥が啼く、騒然たる…

『白鯨』 泳げ悪の真珠

白鯨 (上) (角川文庫) 作者:メルヴィル,富田 彬 発売日: 2015/06/20 メディア: Kindle版 白鯨 (下) (角川文庫) 作者:メルヴィル 発売日: 2015/06/20 メディア: 文庫 『重力の虹』に続いてパラノイア文学のご紹介。 みんな知ってるけど読んだことはないメル…

わからなかった人のための『重力の虹』解説2 あの人は今!

トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2014/09/30 メディア: 単行本 トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[下] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日…

わからなかった人のための『重力の虹』解説

※筆者はピンチョンの専門家ではありません ※筆者は佐藤訳の日本語版しか読んでいません ※筆者はまだ1回しか読んでないので所々うろ覚えです ※完全に持論です ※100%ネタバレです トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection…

『重力の虹』 ナウ、エヴリバディ――

だがふたりが感じるのは曲線だ、間違いなく。それは放物弧。きっと一度か二度、そのことに気づいたのではなかったか(気づきながらも信じるのは拒絶した)――すべては、つねに、全体として、空に潜む純粋化された形へと収斂していたということを。何の偶発性…

『黄泥街』 心にこびりつくあの場所

黄泥街 (白水Uブックス) 作者:残雪 発売日: 2018/10/12 メディア: 新書 あの町のはずれには黄泥街という通りがあった。まざまざと覚えている。 忘れられない場所がある。 ふとした時に思い出す場所、瞼を閉じればその場所の情景・風土・匂いがよみがえる、そ…

『V.』 宙天に浮かぶ多孔質の数珠

V.〈上〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2011/03/01 メディア: 単行本 V.〈下〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2011/03/01 メディア: 単行本 『V.』のことを考えるとき、一…

『NO MORE HEROES』 乾いたリヤルに血がぬめり

人生の数、というものについて考えたことがある。 道行く人々それぞれに人生があり、事情がある。 電車で隣に座った青年はこれから人生を決める選択をするのかもしれない。 喫茶店で話し合う二人は今まさに逃避行のさなかかもしれない。 目まぐるしいそれぞ…

『行ったり来たり』 物語の最小要素

2019/2/8の収穫。 2018年版マイベスト映像編21。 Beckett on Film [DVD] 出版社/メーカー: Ambrose Video 発売日: 2005/05/23 メディア: DVD この商品を含むブログを見る これから書く文章は野暮である。 科学の世界では、最小要素を探求することは1種のセオ…