アメリカ文学

『ブラッド・メリディアン』 朝が来るまで終わることの無いダンスを

ブラッド・メリディアン あるいは西部の夕陽の赤 (ハヤカワepi文庫) 作者:コーマック マッカーシー 発売日: 2018/08/21 メディア: 文庫 この世界のあり方は花が咲いて散って枯れるというものだが人間に関しては衰えというものがなく生命力の発現が最高潮に達…

『スローターハウス5』 悲しみをともに持ち

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302) 作者:カート・ヴォネガット・ジュニア 発売日: 1978/12/31 メディア: 文庫 感想が書きづらい作品だ。 戦争もSFも日常も、すべてがするりと流れ落ちてしまう。 読み終えたあと私たちの手に…

『白鯨』 泳げ悪の真珠

白鯨 (上) (角川文庫) 作者:メルヴィル,富田 彬 発売日: 2015/06/20 メディア: Kindle版 白鯨 (下) (角川文庫) 作者:メルヴィル 発売日: 2015/06/20 メディア: 文庫 『重力の虹』に続いてパラノイア文学のご紹介。 みんな知ってるけど読んだことはないメル…

『バートルビー』 人間バートルビー

書記バートルビー/漂流船 (古典新訳文庫) 作者:メルヴィル 発売日: 2015/09/09 メディア: 文庫 「人間は考える葦である」と言ったのはパスカルである。 「人間は心を持った機械である」と言ったのはデカルトである。 人間の定義は様々だ。他にも「遊ぶ人」(…

わからなかった人のための『重力の虹』解説2 あの人は今!

トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2014/09/30 メディア: 単行本 トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[下] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日…

わからなかった人のための『重力の虹』解説

※筆者はピンチョンの専門家ではありません ※筆者は佐藤訳の日本語版しか読んでいません ※筆者はまだ1回しか読んでないので所々うろ覚えです ※完全に持論です ※100%ネタバレです トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection…

『重力の虹』 ナウ、エヴリバディ――

だがふたりが感じるのは曲線だ、間違いなく。それは放物弧。きっと一度か二度、そのことに気づいたのではなかったか(気づきながらも信じるのは拒絶した)――すべては、つねに、全体として、空に潜む純粋化された形へと収斂していたということを。何の偶発性…

『V.』 宙天に浮かぶ多孔質の数珠

V.〈上〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2011/03/01 メディア: 単行本 V.〈下〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2011/03/01 メディア: 単行本 『V.』のことを考えるとき、一…

『頂きはどこにある?』 やはりあなた達はワカっていない、スペンサー・ジョンソンという男を……

19/1/7の収穫。 頂きはどこにある? 作者: スペンサー・ジョンソン,門田美鈴 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2009/09/08 メディア: 単行本 購入: 8人 クリック: 32回 この商品を含むブログ (36件) を見る 『チーズはどこに消えた?』(以下チーズ)のスペンサ…