「意識高い系だよねー」って時々言われる。
個人的にはむしろ意識低い系のつもりだし、反論することはできるんだけど、だいたい親しくない人に言われるのでいつも適当に流している。
実際みんなが言わんとしているところはわからんでもなくて、自分の能力なりQOLなりを高めるための努力を惜しもうとはしていない。二重否定がややこしくなってるけどまあ要するに頑張ってはいる。
でも自分では意識高い系ではないと思っている。昔からちょくちょく思っていたんだけど、自分がメインで考えているのは意識高い系みたいな「上限突破」のアプローチではなくて、むしろ「下限確保」のアプローチなのだ。
改善(もしくは成長)には2通りのアプローチがあると思ってる。
それがさっき書いた「上限突破」と「下限確保」。
たとえば人間を生産機械として考えてみる。あるものを生み出すための生産機械。
そのパフォーマンスはコンディンションによって当然ぶれる。つまり、調子がいいとき(上限)と悪いとき(下限)がある。
機嫌がいいときはパフォーマンスは上がるし、体調が悪いときは下がる。それはまあ人間であるからして(いや機械でもそうなんだけど)当然のことだ。
グラフの右が調子いい方だとして、人間のパフォーマンスも普通が一番多く、上限と下限が少ない(正規分布かはさておいて)。
さてこのパフォーマンスを高めようとする(=成長しようとする)ときに、平均点を高めようとしてはいけない。というかそんな方策はほとんどない。対策がふわふわしてしまって何もできなくなる。この辺が機械と違うところだ。
取りうる方策は2つのアプローチに分かれる。それがさっきの、「上限突破」と「下限確保」だ。
・「上限突破」に属するもの
能力も体力も環境もすべてOKな時のパフォーマンスを高める方策。
世にいう意識高い系ってだいたいこっちな気がする。
ホームランバッター的な。
具体例↓
・マインド、根性論。(こいつらは火事場には大事な要素だけど、普段から使ったら体がもたない)
・「体で覚える」。反復練習(これは下限の方も上がるかも)。
・新しいことに挑戦する。
・高給取り。
・独断で行動。
・栄養ドリンク。ドーピング。
・予習。
・「下限確保」に属するもの
調子が悪いときorパフォーマンスの足りない人でも成果を出せるようにする方策。
安打製造機的な。
具体例↓
・標準化、マニュアル化。
・5S。(探し物がすぐ見つかるとき=上限、見つからない時=下限とすると、下限の方の時間短縮の方策だから)
・自動化。
・フールプルーフ、フェールセーフ。
・不労所得。
・記録・報告。
・復習。
個人的には下限確保側の方が好きというか、よくやっている方策なので、意識高い系と呼ばれると違う気がする。
この2つのアプローチはもちろん両立できる。というか両立しないと意味がない。
上限突破ばかりでは長くは続かないし、続いたとしても他の人がついてこない。
やろうと思えば掃除できるけど実際は掃除できない、そんな夜を我々は嫌というほど送っているはずだ。
かといって下限確保ばかりではパフォーマンスは上がらない。
マニュアルとか作っても自動化してもそれで達成できるのはしょせん上限の1-2割だ。
やっぱりここでも重要なのはバランス。
知っていないもの(上限を超えているもの)は使えないが、かといってその再現性が低ければ(下限が追い付いていないならば)口だけになってしまう。
いわゆる意識高い系は上限だけ高めようとして下限の方をおろそかにしている人たちのイメージ。
下限の取りくみはわりとメカニカルな部分が多く、地味。惹かれないのはしょうがない。
でも個人的には、下限確保がしっかりできている人は上限も上げやすいという認識がある。タグチメソッドじゃないけど。