新規加入:百年の孤独(10位)
だがふたりが感じるのは曲線だ、間違いなく。それは放物弧。きっと一度か二度、そのことに気づいたのではなかったか(気づきながらも信じるのは拒絶した)――すべては、つねに、全体として、空に潜む純粋化された形へと収斂していたということを。何の偶発性もない、やりなおしも引きかえしも受け付けない弧の形へ。それなのにふたりとも、その下を動き回るだけなのだ。そのブラック&ホワイトの凶報に確実にやられるべく、弧の下を、それがあたかも虹の弧であるように勘違いして・・・まるでふたりがその虹の子どもたちであるかのように・・・
胎児よ
胎児よ
何故躍る
母親の心がわかって
おそろしいのか
3.ぼくは五階で(三田村信行)
→個人的幼年期のトラウマ。
4 山月記
虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
──もう行こう。
──だめだよ。
──どうして?──ゴドーを待たないと。
──ああ、そうだった。
6 ブエノスアイレス午前零時
→二つの人生が重なる刹那を描いた掌編。
7 クラップの最後のテープ
→老いと後悔の極み、呆然のラストシーン
8 不安の種・不安の種+
→世界観さえ塗り替える不安を描いた漫画
9 V.
仮にV.が歴史におけるリアルな存在であるなら、それは——慣例として女性代名詞でうける船や国家と同様、実際に「女」なのではない「それ」は——今日も作動しているに違いない。なぜなら、究極の<呼び名のない陰謀>は、いまだ実現を見ていないからだ。
10 百年の孤独 New!
→今年のベスト。世界最強の大河小説。ラストに吹き荒れる圧倒的な暴風を体感して欲しい。
11:死霊
→<虚体>を追い求める哲学小説にして、独特な文体美を持つ一冊。
12:しあわせな日々
→砂漠に埋まった女はひたすら話し続ける。狂気から逃れるために──
13:タタール人の砂漠
→世界一何も起こらない悲劇。
14 ユニヴァーサル野球協会
→一度も野球しない野球小説。創る者の悲劇、創られる者の始まり。
15:夏の葬列
思いながら、彼はアーケードの下の道を歩いていた。もはや逃げ場所はないのだという意識が、彼の足どりをひどく確実なものにしていた。
16:夜のみだらな鳥
人生は道化芝居ではないし、お上品な喜劇でもない。……すべての人間が生まれながらに受け継いでいるのは、狼が吠え、夜のみだらな鳥が啼く、騒然たる森なのだ。
17:蝿
が、眼の大きな蠅は、今や完全に休まったその羽根に力を籠こめて、ただひとり、悠々ゆうゆうと青空の中を飛んでいった。
18:春にして君を離れ
ジェーン、君は永遠にひとりだ。
19:黄泥街
あの町のはずれには黄泥街という通りがあった。まざまざと覚えている。
20:HELLSING
→人間による人間のための化物退治漫画。
21:土星の環
ときどき思うのですよ、この世にとうとう慣れることができなかったと。そして人生は大きな切りのない、わけのわからない失敗でしかないと。
22:クビシメロマンチスト
甘えるな。
23:書を捨てよ、街へ出よう
→敗北したアジテーション文学。哀切の書。
24:ゴーレム100
→いざイドの世界へ。破茶滅茶スピリチュアル冒険小説。
25:白鯨
→世界の全てを鯨で説明しようとするパラノイア文学。
26:獄門島
→日本一有名なミステリ。圧倒的に無残なラスト。
27:虚無への供物
→アンチミステリの金字塔。犯人はお前だ!
→透明なかなしみ。
29:クビキリサイクル
30:異邦人
→意味もなくランダムなピンボールの軌道。
31:ポケットに名言を
32:中二階
→オフィスから行って帰ってくるだけの小説。異常な注釈によって作られた脱線文学の極み。
33:バットマン キリングジョーク
とある精神病院に二人の男がいた
ある晩、二人はもうこんな場所にはいられないと腹をくくった 脱走することにしたんだ
それで屋上に登ってみると、狭い隙間のすぐ向こうが隣の建物で……
さらに向こうには、月光に照らされた夜の街が広がっていた……自由の世界だ!
で、最初の奴は難なく飛んで隣の建物に移った。だが、もう一人の奴はどうしても跳べなかった。
そうとも……落ちるのが怖かったんだ その時最初の奴がヒラメいた。
奴ぁ言った「おい、俺は懐中電灯を持ってる! この光で橋を架けてやるから、歩いて渡って来い!
だが二人目の奴ぁ首を横に振って……怒鳴り返した
「てめぇ、オレがイカれてるとでも思ってんのか!」
「どうせ、途中でスイッチ切っちまうつもりだろ!」
35:ねぎ姉さん
36:アウステルリッツ
私たちの胸を深く揺さぶるのは、あるいは少なくともそんな心地にさせるのは、こういう現実には存在していない現象なのだ。
現実世界の中に一瞬起こった非現実的なもののきらめき、眼前に広がる風景なり、恋する人の瞳なりのある光の効果なのだよ、と。
37:変身
ある朝グレゴールザムザが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が一匹のとてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。
38:あまりにも騒がしい孤独
→読書家のための悲喜劇小説。エモいタイトル傑作選。
39:欲望という名の電車
40:月に吠える
41:完全な真空
→存在しない小説についての書評集。存在できなかったからこそ耐えられる物語強度もある。
42:作者を探す六人の登場人物
43:ダンシング・ヴァニティ
→狂乱の繰り返し小説。
44:人間失格
45:海辺へ行く道 夏
→「空気が伝わる漫画」。
46:黄色い雨
→落ち葉とともに思い出が積み重なる。優しさに満ちた追憶文学。
47:罪と罰
いますぐ、すぐに行って、十字路に立つんです、おじぎをして、まず、あなたが汚した大地に接吻なさい。
それから四方を向いて、全世界におじぎをなさい。そしてみなに聞こえるように、「私は人を殺しました!」と言うんです。
そうしたら神さまが、あなたにまた生命を授けてくださる。行くわね? 行くわね?」
48:木魂
49:競売ナンバー49の叫び
→足元の地面が揺らぐパラノイア小説。世界は自分で紡ぐもの。
50:砂の女
逃げるてだては、またその翌日にでも考えればいいことである。
51:こころ
52:肖像画
53:鉄コン筋クリート
54:宵闇眩燈草紙
55:闘争領域の拡大
→人生がダメな時にしか楽しめない小説。限界中年男性必読の書。
57:勝負の終わり
→すべてが終わってしまった後の物語。
58:虎よ! 虎よ!
59:別荘
→最高に違和感のある日常シーンをあなたに。
61:虚人たち
62:WATCHMEN
私は我が友の忠告を常に聞く
「彼女に閂を掛け、拘束せよ!」
しかし、誰が見張りを見張るのか?
63:西瓜糖の日々
→世界一透明な小説。
64:ブラッド・メリディアン
この世界のあり方は花が咲いて散って枯れるというものだが人間に関しては衰えというものがなく生命力の発現が最高潮に達する正午が夜の始まりの合図となる。……人間の絶頂は同時に黄昏でもあるんだ。
65:火の鳥 異形編
66:青白い炎
→「詩につけられた全然関係ない注釈」という体裁の小説。ノリツッコミ文学。
68:檸檬
69:くじ
→不気味濃度が世界一な掌編。
70:伝奇集
71:アメリカの鱒釣り
72:孤独と連帯
73:空飛ぶ馬
74:毒入りチョコレート事件
75:鉄風
76:縊死体
77:モレルの発明
78:瓶詰地獄
79:孤独のグルメ
80:夢幻紳士
81:アンダーカレント
82:人間椅子
83:桜の樹の下には
84:弥次喜多inDEEP
85:ルバイヤート
86:オーランドー
87:蹴りたい背中
89:バートルビー
90:弁護側の証人
91:ザ・クレーター
92:ストーカー
93:流刑地にて
94:イツロベ
95:アモンティリヤードの樽
96:オリエント急行殺人事件
97:金閣寺
98:嘔吐
99:ガラスの動物園
100:外のふくらみ