2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『白鯨』 泳げ悪の真珠

白鯨 (上) (角川文庫) 作者:メルヴィル,富田 彬 発売日: 2015/06/20 メディア: Kindle版 白鯨 (下) (角川文庫) 作者:メルヴィル 発売日: 2015/06/20 メディア: 文庫 『重力の虹』に続いてパラノイア文学のご紹介。 みんな知ってるけど読んだことはないメル…

『バートルビー』 人間バートルビー

書記バートルビー/漂流船 (古典新訳文庫) 作者:メルヴィル 発売日: 2015/09/09 メディア: 文庫 「人間は考える葦である」と言ったのはパスカルである。 「人間は心を持った機械である」と言ったのはデカルトである。 人間の定義は様々だ。他にも「遊ぶ人」(…

やりたいことが見つからない人は定義を間違ってるんじゃないの的な話

知り合いが悩んでたので。 なぜやりたいことを見つけるのか? 「やりたいことが見つからない!」いう人は多い。 でもやりたいことを見つけようとする目的っていったいなんだろう? 進路を決めるため? 人生に張り合いを持たせるため? 多分そのどれもが正解…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』最初期のレビューを翻訳してみる ⑤

④↓ kambako.hatenablog.com この本に焦ってしまう読者は、ほとんどの場合、文学的な素養が足りないというよりも、むしろあまりにも文学的過ぎて排他的になっているのだろう。そういう人物は、声を聞かずにデザインを凝視したり、グロテスクを笑うべき時に登…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』最初期のレビューを翻訳してみる ④

③↓ kambako.hatenablog.com 30年ほど前から流行している文学の分析的な研究によって事前に研究されることなくして、今現在このような本を楽しめる読者はいないだろうし、また今後も難しいだろう。『V.』や関連する現代小説家の作品(ウィリアム・バロウズと…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』最初期のレビューを翻訳してみる ③

②↓ kambako.hatenablog.com ロケット00000号の複製を誰が最初に作れるかを競うメインプロットの他に、少なくとも4つの主要なプロットがあり、それぞれ一つずつでも現代のすべての小説家全体の価値が引き上げられるほどの名作である。 一つは、前述のSSコード…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』最初期のレビューを翻訳してみる ②

原文:https://gravitys-rainbow.pynchonwiki.com/wiki/index.php?title=Rocket_Power 筆者は別に英語得意じゃないので間違いとかは指摘してください。 ①↓ kambako.hatenablog.com すべての単語がすべての単語とつながりあい、メインキャラクターがみんなパ…

リチャード・ポワイエによる『重力の虹』の最初期のレビューを翻訳してみる ①

原文:https://gravitys-rainbow.pynchonwiki.com/wiki/index.php?title=Rocket_Power 筆者は別に英語得意じゃないので間違いとかは指摘してください。 ロケット・パワー 1973/5/3、The Saturday Review、リチャード・ポワイエ 1963年にトマス・ピンチョンが…

"Return of the Obra Dinn" 海に浮かぶ棺

*ネタバレありますがクリアにつながるヒントはほとんど記載していません。 Return of the Obra Dinn - Available Now 見渡す限りの黒い海。 やがて訪れる嵐の気配。 5年の時を超えて、乗組員の亡骸を載せて帰還した幽霊船。 白黒の点描で描かれたオブラ・デ…

意識高い系に抜けてるのってここじゃないの的な話-上限突破&下限確保-

「意識高い系だよねー」って時々言われる。 個人的にはむしろ意識低い系のつもりだし、反論することはできるんだけど、だいたい親しくない人に言われるのでいつも適当に流している。 実際みんなが言わんとしているところはわからんでもなくて、自分の能力な…

わからなかった人のための『重力の虹』解説2 あの人は今!

トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日: 2014/09/30 メディア: 単行本 トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[下] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 発売日…

『闘争領域の拡大』 それでも踏破しなくてはならないお前たちに捧ぐ

闘争領域の拡大 (河出文庫) 作者:ウエルベック,ミシェル 発売日: 2018/02/03 メディア: 文庫 ウェルベックは村上春樹に似ているとよく言われるが、個人的には太宰治に似ていると思う。 ウェルベックも太宰も、ともにキャッチ―なフレーズを作るのが非常にうま…

『Ergo Proxy』 加えよ混ぜよ掘れよ

Ergo Proxy Blu-ray BOX (スペシャルプライス版) 発売日: 2018/08/29 メディア: Blu-ray 『Ergo Proxy』を見た。個人的には中の下くらいの印象。 「外国人に人気のアニメ」とか「大人のアニメ」とかで名前が挙がっていたのを覚えている。 哲学的な、とか独創…